「カノン」の謎
私の知り合いに山田君という奇人がいます。
彼はその人生のほぼ全部を萌え萌えに捧げている傾奇者で、毎週なにか新作美少女ゲ
ームが発売されるたびに会社を休んで秋葉に消え、店舗限定テレカをゲットするため
なら人を殺しても「いやあ、基本ですよ」と言いそうなデイ・トリッパーなんですが
、そんな彼が「これやらなきゃダメですよ、基本ですよ」といって筆者に差し出して
くれたのが。表題にある新作美少女ゲーム「カノン」でありました。
聞けば「トゥ・ハート」以来の傑作だということで、当の「トゥ・ハート」もまとも
にやっていない筆者としてはいまいちその評価基準がよくわからなかったものの、と
りあえず最近ようやく修理が終わった、CDコピー専用変態PC「拷拷(やきやき)
一号」で、山田君がソフトをなくしても困らないように「バックアップ」を取ってあ
げて、「むふふふ美少女萌え萌えげひひひひ」とか深夜の自室で一人唸りながらプレ
イしてみたざますよ。
…ところで、一夜明けた今朝、筆者はこのように半ば呆然としてキーを叩いているわ
けですけど、
筆者のこれまでの基準からすると、こういうゲームは二時間くらい女の子の機嫌を取
ったりデートに誘ったりしていれば、それなりのご褒美画面が見られてよかったね…
という構成が普通だとばかり思っていたのですが、この「カノン」、昨夜かれこれ2
時間半は費やしてプレイした結果、
豪雪地帯の学校に通うと、背中に羽の生えた妙な女の子が、
鯛焼きを万引きしながら毎日筆者にぶつかってくる。
という、まことにシュールな展開と、謎が謎を呼ぶ伏線の数々が毎日増えていくだけ
で、まったく萌え萌えというか、えっちっちな展開に至りません。というか、それに
至る選択肢自体が二時間中4回くらいしか出てこないというありさま。これがいった
い今の萌え萌えの「基本」なのでしょうか。
伏線のほうはこんな感じです。
鯛焼き万引き少女と筆者は、以前に知り合いだったらしい。
さらに筆者が間借りしている家のおばさんも、この少女に、なにか暗い心当たりがあ
るらしい。
しかし筆者にはその記憶がない(あたりまえだ)
というか筆者には、物語的にもなぜか7年前の記憶がない。
その間筆者はこの豪雪地帯の町に住んでいたらしい。
周囲の雰囲気から察するに、どうもなんかヤバいことがあったらしい。
筆者は毛布をかぶった家出少女に仇として狙われている。
でもそいつは記憶喪失なので、なにがどう仇なのかは本人にもよくわからない(なんだそりゃ)。
こんな訳のわからない女を、家主のおばさんは、なぜか警察にも届けず自宅に住まわ
せようとする。
家出少女は肉まんが好きだ。
筆者も鯛焼きが好きだったらしい。
でも今は、甘いものが嫌い。
だから朝食のパンにジャムを塗らない。
でも、するとなぜかおばさんと、その娘(多分ヒロイン)は悲しそうな顔をして、執拗に透明なジャムを薦めてくる。
ところで突然ですが、筆者の通っている高校には、抜き身の剣を持った女生徒が「魔」を降すために夜間常勤している。
多分これらの伏線が今後紡ぎ合わされて一つのストーリーになっていくのでしょうが
、あなたこれ想像つきますか?
最初は青春物語かと思ったら、徐々にサイコホラーへと展開し、と思ったらさらに「
魔人学園」…という感じで、今後ひょっとしたらロシアのスパイ組織とか海賊の財宝
とかも出てくるのかもしれませんが、とにかくスゴい展開です。
筆者としては、もうエッチなんてどうでもいいくらい、この話の続きが
気になってしょうがないのですが、
えっちっちな展開にはげしい期待を抱いていた筆者の純なハートが、それではあまり
にかわいそうなので、筆者なりにこのゲームの今後の展開を推理してみました。
やはりこれは、「エイリアン・アプダクトもの」の路線ではないでしょうか。
七年前、筆者は雪の降りしきるこの町でUFOに拉致され、様々な生体実験を受けた
上に記憶を消去されたのです。その際飲まされた「甘い液体」が、物語の鍵となります。
実は筆者が間借りしている家のおばさんとその娘というのは、実験後の筆者をひそか
に監視する宇宙人の変装で、筆者は巧妙に、事件から七年を経て、経過の再調査のために
彼らのもとに招かれたのです。
それというのも、彼らの記憶操作技術はまだ完全でなく、時に実験の失敗で正気を失
い、妄想を抱いて奇行におよぶ被験者も多数生み出しているからにほかなりません。
そう、あの鯛焼き万引き少女も、家出少女も、謎の宇宙人の犠牲者なのです。
彼らは、次第に記憶を取り戻そうとしている筆者に危惧を覚え、ふたたびあの「甘い
液体」をジャムなどに混入して、しきりに筆者や家出少女に食べさせようとするので
すが、本能的にその恐怖を刻み込まれた筆者たちは「甘いものがきらい」「肉まんが
好き」という暗示を自分に植え付けることによって、なんとかその魔手から逃れてい
るのです。逆に液体の虜となって、狂ったように甘みを求め、財産を使い果たして、
ついには背中に奇怪な羽根を付け、連日鯛焼きを万引きするに至る悲しい者も現れま
した。宇宙人はそんな彼女に多少の憐憫の視線を向けつつも、密かに回収した家出少
女とは違い、もはや実験サンプルの価値無しと、商店街に放置しているのです。
問題は、深夜学校の廊下で剣を持って突っ立ってる、ヘンな女の子のことですが、
多分あれは、学校の地下にUFOの母船が埋まっていることに気づいた、暗闇警視配
下の学生刑事あたりなのではないでしょうか。「魔を降す(本当は「討つ」って言っ
てるんだけど、「魔」は普通、「討つ」んじゃなくて「降す」もんだと思うの)とか
言っているのは、宇宙人が太古から「魔」あるいは「サタン」などと呼ばれて人間を
脅かしていたという設定につながっていくのでしょう。
当然クライマックスは、学園が空中に浮上してその内部で筆者たちが超能力に覚醒し、
激しいバトルを繰り広げるに違いありません。
(これで正解だったらどうしよう)
それとも最近流行のトリイ・ヘイデンあたりの幼児虐待もののパターンで、筆者の両
親は、幼い筆者を性的虐待していた悪魔崇拝者なのでしょうか。