諸星大二郎を騙る


諸星大二郎と言えば、日本漫画界の生み出した大天才の一人です。
特に、誰にも似ているということのない、その恐るべき独創性に関しては、漫画史上類を見ないと言ってよいでしょう。
しかしまた諸星大二郎と言えば、大変ナゾの多い作家でもあります。
別に正体を隠しているというわけではないのでしょうが、とにかく取材嫌いの上に極端な寡黙の人だそうで、とにかくインタビュアー泣かせなことが知られています。
いったい、「暗黒神話」を、「西遊妖猿伝」を、そして「森の老人よ、鳥は帰ってきたぞ!」を、「オラといっしょにぱらいそさ行くだ」を生み出した天才諸星大二郎とは、どのような人間なのでしょうか。
そこで筆者は、諸星先生になりかわって、その人間性や創作の秘密を勝手に捏造し、断定的に語ってみることにしました。
当然本人の了解などはまったく得ていませんので、後から訴えられたりするかも知れませんが、そんな形でも新たな諸星情報がゲット出来ればこれ幸いというものよゲハハハハ。というわけでどうぞ。


「ううう〜!」

両手に縄文土器(尖石様式)を握り締め、トレーニングに精を出す諸星大二郎。
(その細身の体は、しかし捩り合わせた鋼線のように強靭な筋肉によって覆われている。)

担当編集あわてて駆け寄り、諸星の足元にひざまづく。
「どうされました諸星先生!」
「憎いッ!富樫が憎いッ!
なぜオレの漫画は『ハンター・ハンター』よりも人気がないのだッ!」
「ええっ!?せ、先生、そんなのと張り合ってたんですか!」
「なぜオレの漫画はジャンプの表紙にならんのだ!と、鳥山明が憎いッ!」
「そ、そんな!だって諸星先生といえば、
これまでそんな通俗的マンガとは無縁の、ひたすらな独自性を
追求されてきたではありませんか!」
「馬鹿めっ!貴様に何がわかると言うのだ!オレは実はいつだって通俗的で浅薄で、アニメ化でウヒョーとか、ギャルにキャーとか、そういうことを言われたい
ただその一心でマンガを描いていたのだ!
「げえええっ!」
「忘れたか!オレが手塚賞デビュー、週間少年ジャンプで連載スタートという、いわば人気漫画化の王道を歩んで来たということを!」
「た、たしかに…!」
「『妖怪ハンター』映画化のときに、ヤンジャンベアーズの対談で、
まるでゴーストライターの霊が乗り移ったかのように、やたらハイになって
主演の沢田研二にインタビューしていたのを忘れたのかッ!」
「た、たしかに…!」
「マブな話、縄文とかニューギニアとか中国の神話とか、そんなものはどうでもいいのだ!(じゃあなぜ描く)
オレだって!ジャンプの人気漫画家として、本宮ひろ志のような、車田正美のような、
勢いだけで知能指数と内容ゼロの、だからこそガキにバカウケする
下らないマンガで一山当ててウハウハになりたかったというのにッ!」
「マ、マジっすか!?」
「せっかく、せっかく鳥山明の人気にあやかろうと
『ドラゴンボール』をパクって『西遊妖猿伝』を描いたというのにッ!」
「だ、だって妖猿伝のほうが連載開始が先じゃないですか!」
「馬鹿めっ!麒麟は一見タイムパラドックスを起こしたかに見えるがそうではない!
過去の作品をパクるのは相剋、反剋の力で蘇ったワシの力を持ってすれば造作もないわっ!(いつ死んだんだ。)」
「ううっ!よくわからないがすごい説得力だ!じゃあ、ひょっとして他の作品も?」
「そうとも!『マッドメン』は『ジャングル黒べえ』のパクリだ!」
「げええっ!」
「さらに『妖怪ハンター』は『地獄先生ぬーべー』のパクリだ!」
「げげええっ!」
「しかも『栞と紙魚子』は『ダーティ・ペア』のパクリだ!」
「げげえええっ!」
「どうしたんだこの騒ぎは。」
「ああっ!星野之宣先生!いいところに!諸星先生が何かおかしいんです!」
「いまさらそんなことで驚くな。」
「いやそうじゃなくて、自身の作風をあえて否定されるようなふるまいを…。」
「バカめ!貴様には作家の本質と言うものがわかっておらん!
ワシだって「ブルー・シティー」や「巨人たちの伝説」などで正統派SFマンガの重鎮などと呼ばれておるが、本当はSFなんかどうでもいいんだ!
ワシはただ、そうした要素を隠れ蓑に、幼女を、そう、金髪でホットパンツの幼女を描くための隠れ蓑としてSFを利用しておるにすぎん!」
「げええええっ!?」
「星野君!」
「諸星君!」
「俺たち!マブダチ!」
「嘘だあ!そんなの嘘だあ!」
(泣き崩れる担当編集)

先生!子育てなんかどうでもいいから(ひでえこと言ってるなあ)
はやいとこ「妖猿伝」完結させてください!「悍怒魔」って、たぶん「ハヌマーン」ですよね?